美と健康のパートナー「海洋深層水」って?
毎日飲む水だからこそ、健康や美容のことを考えて選びたいものですよね。ここでは、深海からくみ上げられたミネラル豊富な海の水「海洋深層水」について、その特徴や、どんな効果が期待できるのかをご紹介します。
海洋深層水が湧き上がる高知県室戸沖は、国内有数の漁場として、またホエールウォッチングの名所として知られている海域。魚からクジラまでもが回遊するのは、魚の餌となる植物プランクトンがこの海域で湧き上がる海洋深層水に豊富に含まれているからだといわれています。
この高知県室戸沖に、国内初の海洋深層水取水施設が設けられたのは、今からおよそ30年前の1989年のこと。以来、海洋深層水の研究は進み、今では飲料だけでなく、加工食品や化粧品、塩や酒など、さまざまなジャンルで利用され、その効果に注目が集まっています。
ここでは、無限の可能性を秘めた海洋深層水★の真相をdeepに探っていきましょう。
深層1:海洋深層水ってどんなお水なの?普通の水と何が違うの?
海洋深層水とは、太陽の光が届かない水深200m以上の深海を循環している海水です。日本国内の海洋深層水は、約2000年かけて地球規模で大循環する海流や、日本固有水、北太平洋中層水などの海流を源としています。
2018年現在、前述した高知県をはじめ、富山県、北海道、静岡県、三重県、沖縄県など国内16か所で海洋深層水は取水されています。
★一般的な海洋深層水飲料のことを示しています。
海洋深層水には、大きく3つの特徴があります。
1つめは、「山の水」と比べてミネラルが豊富なこと。海水は地球上のほとんどすべてのミネラルを含みます。
2つめは、シンプルにクリアで水質がきれいなこと。海洋深層水は表層水と異なり、大気にさらされず排水も流れ込まないため、病原菌や汚染物質の影響を受けません。
また日光が届く表層水では、植物プランクトンによる光合成が行われ、これに始まる食物連鎖、さらに気象などさまざまな影響を受け汚染されやすくなりますが、深海では光合成が行われないためプランクトンも発生せず、クリアな水質が保たれます。
そして3つめが、日光が届かないため一年を通して低温で、水質が安定していることです。深層水は低温で重たいので表層水とまじりあうことなく、環境の影響を受けにくい海水です。
このように海洋深層水は含まれる栄養素や水質において、「山の水」や表層水とは大きく異なるのです。
深層2:なぜ海洋深層水にはミネラルが豊富なの?
雪解け水や雨水といった「山の水」に対し、海洋深層水など「海の水」はミネラルが豊富に含まれています。これは、水が海に流れ出る前に通る石灰岩からミネラル分が溶け出すためです。
海水の成分は96.6%が水で、3.4%が塩分。この3.4%のうち約3/4は塩化ナトリウムで、残りはさまざまなミネラルです。塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどが代表的ですが、海水全体に占めるミネラルは100種類近くあるといわれます。
人間の血漿(血液からタンパク質などの血球を除いた成分)は、この海水の成分と類似しています。ナトリウムや酸素、カリウム、カルシウムなどミネラル構成比率はほとんど同じ。そのため「海は全生物の誕生の場」ともいわれています。
今、海洋深層水が注目を集めるのは、この海洋深層水が豊富に含まれるミネラルが人間のからだにはとても重要だからです。
深層3:ミネラルはからだにどういいの?
そもそもミネラルとはどんな栄養素なのかご存知ですか?
ミネラルとは無機質の栄養素の総称で、よく知られているものとしてカルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムなどが挙げられます。ミネラルは、人体を構成している元素のうち約4%を占めますが、人間の体内でつくり出すことができないため、食べ物や飲み物で補う必要があります。
ミネラルの働きはさまざまです。ここでは、ミネラルに含まれる栄養素別に、その働きや効果について説明しましょう。
カルシウム
骨・歯をつくるだけでなく、筋肉の収縮や神経の刺激伝達に役立ち、イライラやストレスなどを静め、神経を安定させる効果があります。
鉄
ヘモグロビンを構成し、身体のすみずみに新鮮な酸素を運ぶうえで欠かせない役割を果たします。
カリウム
細胞の浸透圧の調整や筋肉の収縮、神経細胞の刺激伝達に関与しています。またナトリウム(塩分)を体外へ排出する役割を果たします。
マグネシウム
体内に約300種類ある酵素の働きを助けるとともに、骨や歯の形成に欠かせず、血液循環を正常に保つ機能もあります。
このように、ミネラルを摂取することでさまざまなからだにいい効果が期待できます。とくに最近の日本人は、欧米型の食生活、加工食品、ストレスなどが原因で、ミネラル不足が指摘されています。健康なからだをつくるためにも、なるべく意識してミネラルの補給を意識したいものですね。
深層4:海洋深層水★は、どう取り入れるといいの?
では、海洋深層水★はどのように選べばよいのでしょうか?
人間のからだからは何もしなくても1日に1.5Lの水が失われ、汗や尿の分を含むと1日2.5Lは補充する必要があります。
最近は水を買って飲む方も増えましたが、その中でも海洋深層水★を選ぶポイントとなるのが、カルシウムとマグネシウムの含有量をもとに算出した「硬度」です。
一般的に硬度100までを軟水、100-300までを中硬水、300以上を硬水と呼んでいます。国内で市販されているミネラルウォーターは、雪解け水や雨水など山を産地としたものが多く、そのほとんどは軟水で、ミネラルをほとんど含みません。
これに対して、「海の水」である海洋深層水の特徴は硬度が高いこと。とくに、現代人に最も不足しているといわれるマグネシウムの含有量が多いことで注目を集めています。
マグネシウム以外にもカルシウム、ナトリウム、カリウムなどをバランス良く含むため、ミネラル補給を目的にするなら「海の水」である海洋深層水★がおすすめです。
また、ミネラルが徐々に体内へ吸収されるよう1日のうち、数回にわけて飲むようにしましょう。マグネシウムやカルシウムの含有量が多いほどしっかりした飲み心地が感じられますが、少し味のクセが気になるという方もいます。その場合は、レモン果汁を加えたりスープに使うことで味が気にならなくなることもあるので試してみてください。
また、体内の水分は5~10%が毎日入れ替わるとされており、理論上は10~20日かけて体内の水が入れ替わることになります。飲み始めて2週間程度で違いを感じるという声が聞かれるのはこのためです 。
同じ水でも、軟水と硬水はそれぞれの特徴を生かした効果的な使い方があります。以下を参照に使いわけてみるとよいでしょう。
軟水タイプの使い方
・お茶やコーヒーを淹れるための水
・日常の料理・飲用水
・アルコールの割り水、チェイサー
・お薬を飲むときの水
・赤ちゃんのミルクを調乳するための水
中硬水・硬水タイプの使い方
・健康のためのミネラル補給水
・目覚めの一杯(腸内環境を整え、便秘に効果がある)
・運動の前後(足のつりや筋肉の痙攣を防ぐ効果がある)
・入浴前後の水分補給に
・灰汁(アク)を十分に出したい料理用
★一般的な海洋深層水飲料のことを示しています。
まとめ
現代人のミネラル不足を補うため、積極的に取り入れたい海洋深層水★。各社から製品が出ていますが、原水や含有成分をはじめその品質はさまざまです。
また、海洋深層水を脱塩しミネラルを残した商品や、海洋深層水を「山の水」に添加している商品もあるためパッケージ表示を見比べることが必要です。
現在、国内では、国産・輸入品あわせておよそ1000銘柄のミネラルウォーターが流通しているといわれます。いろいろと試しながら自分の味覚とニーズに合ったものを選び、ぜひ健康に役立ててください。
★一般的な海洋深層水飲料のことを示しています。
イラスト(深層水図)/鈴木レオナ