エクオールの働きと増やす生活習慣とは?【更年期症状】
更年期の女性を悩ませるさまざまな不調。これらは体内のあるホルモンの減少によって引き起こされているとされています。今日は更年期症状の軽減をサポートするとして大注目の新成分「エクオール」について解説します。
ほてりや肩こり、イライラ、動悸、息切れ……。
更年期を迎えた女性の心とカラダにはさまざまな不調が現れやすくなります。しかし、仕事や家族のケアなど目まぐるしい毎日を送るうち、ついつい自分の体調管理を後回しにしてしまうという女性も多いようです。
今回ご紹介するのは、そんな忙しい現代女性の美と健康をサポートする成分として今注目を浴びる「エクオール」。エクオールのはたらきや体の中に増やすための生活習慣について解説します。
エクオールのはたらきとは?
昔から、女性の健康にうれしい食材とされてきた大豆。
近年その理由の一つが、大豆に多く含まれる「大豆イソフラボン」が体内で代謝されてできる成分「エクオール」にあるということが分かりました。エクオールは体内で女性ホルモンの「エストロゲン」と似たはたらきを発揮するのです。
エストロゲンは、骨を強くする、肌の潤いを保つ、血管を強くする、悪玉コレステロールを減らすなど、女性の美と健康にとってまさに“守り神”と言えるホルモン。
出典:「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」2015年版(一部改変)
しかし、更年期を境にして、その分泌量は急激に減少してしまいます。更年期※以降に現れやすい不快な症状は、このエストロゲンの減少に伴って体内のホルモンバランスが崩れることで起こっていたのです。エクオールは、このエストロゲンの代わりとなる成分として注目されているのです。
※閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。(日本産婦人科学会HPより)
エクオールが作れるのは2人に1人!?
エストロゲンの代わりに働いてくれるなんて素敵な成分ですよね。しかし、このエクオール、体内で作ることのできるのは日本人女性の2人に1人と考えられています。
エクオールを作ることができる人とできない人の違い、それは“腸内細菌(エクオール産生菌)”にあります。大豆に多く含まれる大豆イソフラボンは「ゲニステイン」、「ダイゼイン」、「グリシテイン」の3種類に分けられますが、このうちの「ダイゼイン」のみが腸でエクオール産生菌に代謝されることでエクオールに変化し吸収されるのです。
残念ながら、エクオールを作れない体質を変えることは難しいといわれています。
エクオールの不足を補う方法として、エクオールそのものを摂取できるサプリメントも発売されているので、そちらを試すのも一つの方法と言えるでしょう。ご自身がエクオールを作れる体質かどうかは尿検査で簡単に知ることができるので、気になる方はぜひ調べてみてください。
では、エクオールを作れる体質の場合は安心でしょうか。じつはそうとも限りません。エクオールが作れる体質の方でも、多くの場合でその量は不足しているといわれているのです。体内でなるべく多くのエクオールを作るために、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
エクオールを増やす生活習慣とは?
最後に、エクオールを増やす生活習慣についてみていきましょう。
①大豆や大豆製品を積極的に摂る
エクオールは大豆に含まれる「大豆イソフラボン」が代謝されてできるので、毎日の食事に大豆製品を取り入れることはとても大切です。納豆なら1パック、豆腐ならば2/3丁以上を目安に摂取しましょう。
また、大豆には腸内環境を整える食物繊維やオリゴ糖、植物性たんぱく質など女性に嬉しい成分も豊富に含まれています。豆腐、納豆、厚揚げ、味噌など加工食品の種類も豊富なので毎日の食卓にも取り入れやすいのではないでしょうか。
②海洋深層水★を飲む
ある研究※では、海洋深層水を継続的な摂取を行なった人は、そうでない人と比べて、エクオールの産生量が約1.6倍になったと報告されています。
これは、一般の水やミネラルウォーターに比べてミネラルが多く含まれる海洋深層水が腸内細菌のエネルギー源となり、腸内環境が活性化されたことが要因と考えられます。腸内環境の改善は、エクオールの産生に効果的であるのみならず、生活習慣病の予防にも繋がると考えられています。毎日の飲料水を海洋深層水に変えることも一つの方法と言えるでしょう。
※2017年5月 高知県 工業振興課 海洋深層水推進室発表「室戸海洋深層水機能性評価事業」より
★一般的な海洋深層水飲料を示しています。
③適度な運動と十分な睡眠時間
エクオールの産生量は、腸内環境によって左右されているため、腸内環境が乱れているとエクオール産生量も減ってしまいます。腸は、食生活や運動習慣、ストレスの影響をとても受けやすい臓器であることからも、普段から適度な運動習慣や十分な睡眠時間を確保し、腸内環境を整えることを心がけましょう。
まとめ
「エクオール」は更年期女性を助ける成分である一方で、体内で作ることができなかったり、作ることができても不足していることが多いことが分かりました。今回ご紹介した方法でエクオールを味方につけ、これからも健やかで美しい毎日を送ってくださいね。