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【運動時の水分補給は必須!】熱中症を防ぐためのポイント

気温が急激に高くなる夏は、運動によって大量の汗をかく季節です。しかし、これが引き金となり、脱水症状や熱中症が発症するリスクも高くなります。効果的な水分補給のポイントを押さえましょう。

照りつけるような日差しが続き、体調を崩す人が増加する夏。特に炎天下で運動をする場合、十分な水分補給ができていなければ熱中症や脱水症状になり、命を落とす可能性も……。

では、汗をかきやすい夏に運動をしたとき、熱中症を防ぐためのポイントはどこにあるのでしょうか。今回は、東京大学陸上運動部コーチで運動生理学がご専門の竹井尚也さんに、夏に運動をした際の水分補給のポイントについて教えてもらいました。

運動を始める前に。熱中症を防ぐためのポイント

気温が高く、体力が減少しやすい夏だからこそ、適度な運動によって体力をつけたいもの。しかし、水分補給ができていなければ、熱中症や脱水症状でさらに体力が奪われます。そのため、運動の開始前から熱中症対策を行うことが重要です。

一般的に、肥満傾向の人や運動習慣のない人は、熱中症になりやすいといわれています。

それは皮下脂肪が多い肥満傾向の人は体の熱を逃がしにくく、体を動かした際に多くの熱が発生するため。その他にも、普段から運動をしていない人は汗がうまくかけず、体温が下がりにくい傾向にあります。いずれの場合も、決して無理をしないように気をつけましょう。

◆暑さ指数

1954年、熱中症の予防を目的として暑さ指数(WBGT/Wet Bulb Globe Temperature :湿球黒球温度)がアメリカで提案されました。この暑さ指数は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、国際的に規格化されています。

環境省の「熱中症予防情報サイト」では、自分の住んでいる地域の暑さ指数が調べられます。運動を始める前に暑さ指数を確認し、もしもの場合は中止を検討すると良いでしょう。

◆服装

運動時、体温が上がることでスポーツウェア内には蒸れが発生します。もしも通気性が低いウェアを着ていた場合、熱が逃げず、熱中症の原因になります。薄着を心がけることはもちろん、通気性、速乾性の高いスポーツウェアを選ぶようにしましょう。速乾性のあるウェアを身につけていると、汗が早く乾き、体温が下がりやすくなります。また、ゆったりとした余裕のあるサイズのウェアを身につけると、風が通りやすく涼しく感じるでしょう。

直射日光を防ぐためには帽子を着用するのも有効です。こちらもメッシュ素材の帽子を選ぶことで、熱を逃がしやすくなります。

◆体調

「疲労が回復できていない」、「寝不足を感じている」といった人は、体温調節機能が著しく低下しています。普段は問題なく過ごせる暑さでも熱中症を発生する可能性が高いため、体調によっては運動を延期しましょう。

万全のコンディションで運動をするためには、前日から体調管理をしっかりしておくことが望ましいとされています。睡眠を十分に取っておくことで体力が回復、利尿効果のあるアルコールを控えることで脱水症状のリスクが減ります。

正しい水分補給とは?

運動で汗をかいたとき、体内からは水分と塩分が失われます。このとき、十分な水分補給をしないと、脱水症状を起こして汗が上手くかけず、体温調節ができません。結果として体温が急上昇し、大量の発汗や立ちくらみが発生します。

特に運動で体を動かすと体温が上昇しやすく、熱中症を予防するためには水分補給が必須です。しかし、水分補給の方法を誤ると、パフォーマンスが低下するだけでなく、喉がますます乾くことも考えられます。

1.タイミング

運動をして「喉が渇いた」と感じたとき、すでに体内からは水分が失われている可能性があります。もともと、水分は飲んですぐに吸収されるのではなく、30分程度の時間が必要とされています。つまり、喉の渇きに気づいてから水分補給をしたとしても、タイムラグが発生してしまうのです。

そのため、まずは運動を始める30分前に、250〜500ml程度の水分補給をしておきましょう。

そして運動中は、喉が渇く前に水分を定期的に補給することが必要です。適切な水分量は、体調や気温、運動量によって異なりますが、飲みすぎると水分がお腹にたまり、パフォーマンスが低下します。

2.温度

運動により体温が上がると、冷たいものを飲みたくなるかもしれません。しかし、冷たいものを急に飲むと、胃腸に負担をかけてしまいます。腹痛の原因になることもあるため、常温にするか、11〜15℃程度に冷やしたものが望ましいでしょう。

また、ペットボトルで持参した場合、気温によってぬるくなり、飲みづらくなります。保冷効果のあるステンレスボトルを使うと、適切な温度を保ったまま水分補給ができます。

3.飲み方

水分補給を行う際は、一気に飲むよりも何回かにわけてゆっくり飲むことを意識しましょう。

水分補給のポイントのひとつは、体重の2%以上の水分を補給できていることにあります。運動の前後で体重を計測し、運動前より減っていれば積極的に水分を補給しましょう。

運動後の水分補給にNGな飲み物・OKな飲み物
激しい運動で汗をたくさんかくと、水分とともに体内の塩分などのミネラルが排出されます。そのため、水分・塩分だけでなく、塩分やマグネシウム・カリウム・カルシウムなどのミネラルも補給できる飲み物を選ぶようにしましょう。

スポーツドリンクは、失った塩分などのミネラルの補給に適しています。汗に含まれる主要なミネラルが含まれていると同時に、体液に近い浸透圧になっていることから効率よく水分補給を行えます。

また、一部では糖分が含まれているスポーツドリンクを飲みやすくしようと、水で薄める人がいます。ただし、ミネラルバランスが変わってしまうため、そのまま飲むようにしましょう。糖分が気になる場合は、カロリーオフやカロリーゼロのスポーツドリンクがおすすめです。

運動後の水分補給時に気をつけたいのが、糖分の過剰摂取です。糖分を多く含んだジュースを飲むと、肥満の原因につながります。そして緑茶やコーヒーなどカフェインを含んだ飲み物は利尿作用があり、せっかく補給した水分が体外に排出されやすくなります。これらは運動後の水分補給では避けるようにしましょう。

まとめ

「今は喉が渇いていないから大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに水分は失われています。さらに激しい運動を行っていれば、水分だけでなく塩分などのミネラルも補給しなければいけません。

スポーツドリンクで素早く、しっかりと水分補給を行い、楽しく運動を行えるように意識しましょう。

監修者プロフィール

竹井尚也東京大学陸上運動部コーチ
竹井尚也東京大学陸上運動部コーチ

運動生理学を専門とし、科学的根拠に基づくトレーニング理論で箱根駅伝出走ランナーなど数々の選手の運動指導を行う。

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