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マグネシウムで片頭痛を予防。妊婦も安心・食事ケア

ズキンズキンと激しい痛みが襲ってくる「片頭痛」は月に2~4回起こる人が多く、中には痛くなる前に目の前にキラキラが見えるなどの前兆があるという人もいます。 片頭痛の治療には、脳血管収縮薬であるトリプタン製薬が主に用いられますが、発作頻度や妊娠中などこの薬を使いにくい場合もあります。そこで、代わりに血管安定作用を持ちながら比較的安全な成分であるマグネシウムと片頭痛の予防について、研究内容をご紹介します。

片頭痛はこうして起こる!

そもそも、片頭痛はなぜ起こるのでしょうか。まずは、その仕組みから見ていきましょう。

片頭痛が発生するのはなぜ?

日本人の約840万人が片頭痛と推定されていて、約74%は生活に支障を感じています。激しい片頭痛は嘔吐やめまいを伴い、立っていられない程の強さになることもありますが、片頭痛が発生するメカニズムはまだはっきり解明されていません。

しかし、有力な説では「脳血管の収縮・拡張・血管周辺の三叉神経」などが関わっていて、収縮と拡張を常に繰り返している脳血管がバランスを崩すことで、片頭痛が起こるのではないかと考えられています。

上図のように、最初(片頭痛前兆期)は脳の血管が収縮して血流が減りますが、しばらくすると反動で血管が拡張し、より多くの血液が脳に流れるようになります。このとき、炎症性物質が発生して血液の流れとともに伝わっていくため、心臓の拍動に合わせて痛みを感じるのです。

片頭痛は男性よりも女性に多い?

片頭痛を患う女性30代は男性の4倍近くになるため、片頭痛は女性ホルモンの変動と深い関係があるといわれています。月経前〜月経中の頭痛は月経前症候群(PMS)の一種と思われがちですが、その半数以上は片頭痛であるという報告もあるほどです。

月経前〜月経中に片頭痛が増えるのは、以下の図に示されるようにエストロゲン(卵胞ホルモン)の血中濃度が急激に低下するからと言われています。

このように女性ホルモンの変動が片頭痛の重要な要因となっているため、女性は月経・妊娠・出産・閉経を迎えるタイミングで片頭痛を発生したり、軽減したりすることもあります。

片頭痛の原因の一つはマグネシウム不足!?

我々の身体は筋肉細胞が収縮したり、弛緩したりすることで動いていて、筋肉細胞にカルシウムが入ると緊張=収縮し、カルシウムポンプで汲み出されると弛緩するという仕組みです。このカルシウムの汲み出しを担う「カルシウムポンプ」はマグネシウムが動かしているため、マグネシウムが不足すると細胞内のカルシウム濃度を下げられなくなり、緊張状態が続いてしまいます。

これが血管で起きると高血圧となり、脳細胞で起きると脳過敏(片頭痛を含む)となります。マグネシウムはこうした「脳神経細胞の緊張状態(片頭痛を含む)」を抑えるとともに、片頭痛の直接の引き金となる脳血管内の血小板の凝集を抑える働きもしているため、マグネシウム不足は片頭痛につながると考えられるでしょう。

また、マグネシウムは「抗ストレスミネラル」とも呼ばれ、カルシウムとともに神経細胞の活動に関わり、神経活動を安定させる役割を持っています。ですから、頭痛の心配や前兆などによる精神的なストレスを受けやすい片頭痛の人は、ほとんどの人が常にマグネシウム不足の状態である、と考えられます。

どんな食材を食べると良い?効率的にマグネシウムを摂取しよう

では、効率的にマグネシウムを摂取するためにはどんな食材を食べれば良いのでしょうか。

片頭痛の予防にはどんな食材を食べればいい?

頭痛予防になる基本の栄養素としては、マグネシウムの他にもビタミンB2・B6が良いと医学的な調査でわかっています。

マグネシウム:海藻、大豆製品、ナッツ類、干し魚、あさり、ブロッコリー、枝豆、レーズン、ほうれん草、バナナ、ごまなど
ビタミンB2:肉や魚、乳製品、緑黄色野菜、卵や魚卵、納豆、のり、玄米など
ビタミンB6:レバー、魚、鶏肉、アボカド、かぼちゃ、ピーナッツ、バナナ、玄米など

日頃からこのような食材を食事に取り入れていくのが良いでしょう。

マグネシウムを豊富に含んだおすすめのレシピは、こちらの記事でご紹介しています。


マグネシウムと片頭痛予防の研究

次に、マグネシウムを含むミネラルウォーターで片頭痛予防が確認された研究をご紹介します。

秋葉原駅クリニック 大和田潔医師と赤穂化成株式会社の研究(「第13回 日本補完代替医療学会学術集会」にて共同発表)では、片頭痛を持つ41人にマグネシウムを200mg/Lの割合で含むミネラルウォーターを可能な限り毎日500ml摂取し、日々起きた頭痛の様子を記載する「頭痛ダイアリー」を付けてもらい、頭痛の頻度や強度の変化を調べました。

その結果、頭痛が連発していない、月10回ほどの片頭痛発作の方は24人で、そのうち14人に発作回数の減少や強度の減弱などが見られました。また、妊婦で発作回数が減少した方もいました。しかし、重症の片頭痛の方17人にはあまり効果が認められませんでした。

このことから、マグネシウムを含むミネラルウォーターは薬剤を用いづらい「片頭痛を散発する方」「妊婦の方」などの片頭痛予防に適していると考えられます。また、女性は便秘になることも多いですが、マグネシウムの作用によって同時に解消されることも多いという結果になりました。

このように、マグネシウムは前述の食材から摂取するのも良いのですが、片頭痛予防のためには海洋深層水飲料にがりなど、マグネシウムを豊富に含む食品を利用して効率よく摂取するのもおすすめです。

マグネシウムを多く含んだ食材については、こちらの記事で詳しく解説しています。

マグネシウムの働き・多い食品を解説。にがりや海洋深層水で補給もおすすめ

まとめ

マグネシウムは連発していない片頭痛に予防効果があり、海洋深層水飲料は薬を飲みにくい妊娠・出産・授乳期にもおすすめです。食生活で片頭痛を予防できれば薬の服用も減らせますので、マグネシウムが豊富な海洋深層水飲料などを利用してはいかがでしょうか。

参考:五十嵐久佳監修「頭痛女子バイブル」
   後藤日出男著「女性の9割が鉄マグ欠乏症」
   後藤日出男著「お医者さんにも読ませたい『片頭痛の治し方』」

監修者プロフィール

境剛史薬剤師
境剛史薬剤師

神戸薬科大学大学院 修士課程修了。約20年企業に勤務し、健康相談や薬と健康食品の飲み合わせ相談などに対応している。趣味はツーリング。

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