美味しい豆腐の見分け方って?全国豆腐品評会の受賞豆腐にも注目!
美味しい豆腐とは、どのような豆腐なのでしょうか。調理しやすい豆腐、大豆の味や香りがしっかり残る豆腐、口の中でほろりと崩れる豆腐など、人によってもさまざまな好みがあるでしょう。美味しさの基準の一つとして「全国豆腐品評会」で受賞した豆腐を食べるのもおすすめです。 今回は、そんな美味しい豆腐についてお話しします。
豆腐の種類にはどんなものがある?
豆腐とはよく知られているように「豆乳を固めたもの」ですが、その固める過程でいくつかの種類に分類されます。それぞれの豆腐には特徴がありますので、調理方法や用途に合わせて使いましょう。
絹ごし豆腐・木綿豆腐
スーパーマーケットなどでもよく見かけるのが「絹ごし豆腐」「木綿豆腐」の2つではないでしょうか。以前は木綿豆腐が多かったのですが、最近では絹ごし豆腐が増えてきました。その理由は、次章でご紹介する「凝固剤」という豆乳を固める原料に関係してきます。
絹ごし豆腐は名前通りの滑らかな食感が特徴で、豆腐を凝固剤で一度固め、そのままカットして水とともにパッキングされたものです。一方、木綿豆腐はこの絹ごし豆腐をいったん崩し、布でくるんで脱水し、固め直したものです。
このようにわざわざ絹ごし豆腐を壊して固め直す「木綿豆腐」が普及していたのは、昔は絹ごし豆腐を作ること自体が難しかったためで、うまくできなかった絹ごし豆腐をもう一回固め直して木綿豆腐を作っていたからです。現在では設備や技術が進歩したおかげで、木綿豆腐は専用の設備で作られています。
木綿豆腐は余分な水分を絞るため、崩し方や絞り方で豆腐の硬さ・柔らかさが変わってきます。木綿豆腐も絹ごし豆腐と同じように水とともにパッキングされるので、水の中に豆腐の成分が少しずつ溶け出していきます。そのため、程度にもよりますがこれらの豆腐はできたてが最も美味しく、時間とともに味が変わっていくため、鮮度が大切な豆腐です。
充填豆腐
充填豆腐は、絹ごし豆腐や木綿豆腐とは異なり、パックの中に水が入っていません。パックに冷たい豆乳と凝固剤を混ぜたものを入れ、パッキング後に加熱して固められた豆腐です。そのため、絹ごし豆腐のような柔らかい食感があり、水にさらされないことから味も変わりにくく、加熱された後に空気に触れないため日持ちするというたくさんのメリットがあります。
このメリットから充填豆腐が最も美味しく経済的と考えられがちですが、充填豆腐はその製法上、冷たい豆乳のとろみで凝固剤が混ざりにくいため、濃い豆乳を使うのは難しいというデメリットもあります。つまり、できたての絹ごし豆腐などと比べるとややあっさりした甘みの味になります。
寄せ豆腐・ざる豆腐
寄せ豆腐やざる豆腐は、豆腐の中でも特に味を重視しています。寄せ豆腐は、絹ごし状の固まり (豆腐)を作ってお玉などですくって容器に入れ、水を入れずにそのままパッキングしたもの。ざる豆腐は同じく絹ごし豆腐を作ってざるの上にお玉などですくった豆腐を載せ、余計な水分を取り除いたものです。
どちらも豆腐から水が出ますが、周りに水がないので味が薄くなりません。反対に、水分が減っていくので、甘さは徐々に増えていきます。ただし、残念ながら日持ちしないというデメリットがあるため、これらの豆腐を買ったときには早めに食べましょう。
豆腐に欠かせない「凝固剤」で食感や味が変わる!?
豆腐を固めるためには「凝固剤」を使います。凝固剤の違いについて見ていきましょう。
にがり
昔から使われているのが「にがり(粗製海水塩化マグネシウム、または塩化マグネシウム)」で、海水から塩を取った後に残る液体のことです。「にがり」で作る豆腐は甘くて美味しいのですが、豆腐をうまく固めるためにはかなりの熟練した技術が必要で、上手に固められないと逆にうまみが抜けて味のない硬い豆腐になってしまいます。
硫酸カルシウム
「硫酸カルシウム」使えば、滑らかな食感の絹ごし豆腐が作れるのですが、残念ながらにがりのような濃厚な甘みのある豆腐になりません。しかし、この凝固剤が使われるようになったことで、キレイな豆腐をたくさん作るようになりました。
グルコノデルタラクトン
その後、もっと簡単に滑らかな豆腐が作れる「グルコノデルタラクトン」という凝固剤が開発され、誰が作っても滑らかで弾力のある絹ごし豆腐が作れるようになりました。しかし、この凝固剤は多く使うと甘みが感じられなくなってしまいます。
現在は、組み合わせた凝固剤が使われている!
そこで、にがり(または塩化マグネシウム)、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンを組み合わせた凝固剤が使われるようになり、ようやく味・滑らかさ・弾力性のバランスをとった絹ごし豆腐が作れるようになりました。
それだけでなく、製造機械の進歩によって、にがりを使った滑らかで甘い絹ごし豆腐も作れるようになりました。現在では、にがりで固めた豆腐でも、木綿豆腐と比べてソフトな絹ごし豆腐が好まれています。
全国豆腐品評会で選ばれた注目の豆腐って?
近年、全国の豆腐の品評会が開かれています。2019年までに5年間、開催がありましたが、2020年は新型コロナの影響で中止になりました。そこで、過去の豆腐品評会の実績から使われている原料の大豆、凝固剤、金賞受賞の豆腐の味わいについてご紹介します。
原料の大豆は?
2018年の豆腐資機材フェア(東京開催)では前年等に受賞された豆腐の試食ができ、どれも濃厚な甘味のある豆腐を味わえました。受賞豆腐の原料大豆は、昔ながらの希少な在来種の大豆が多いようでした。
凝固剤の種類は?
受賞豆腐で使われている凝固剤は、ほとんど「にがり(粗製海水塩化マグネシウム)」でした。粗製海水塩化マグネシウムで引き出された、国産大豆の甘味が好まれるようです。粗製海水塩化マグネシウム、またはその主成分である塩化マグネシウムを使って固めた豆腐は原材料に「にがり」を使った豆腐である、という表記ができます。美味しい豆腐を選ぶ際の参考にしてみてください。
全国豆腐品評会金賞受賞の「特選 絹ごし」を味わう
日本各地には、作り手のこだわりが詰まった豆腐がたくさん販売されています。そこでdeepureでは、全国豆腐品評会 第3回 絹ごし部門で金賞を受賞した、とうふ工房ゆう「特選 絹ごし」を取り寄せて試食してみました。
口に含むと大豆のうまみが濃厚に広がり、ババロアのようなねっとりとした食感はまるでデザートのようです。料理に使うなんてもったいない、このまま醤油もかけずにいただきたいと思える豆腐でした。食材の一つでありながら、既に和食として完成された味わいに心が躍ります。
このように、全国からお取り寄せできる豆腐も、ご当地豆腐にもそれぞれ個性があります。旅先で出会える豆腐に縁を感じながら味わってみるのもおすすめです。
全国豆腐品評会 審査結果(第2-3回 受賞内容から抜粋)
凝固剤 粗:粗製海水塩化マグネシウム 塩マグ:塩化マグネシウム
全国豆腐品評会 審査結果(第4-5回 受賞内容から抜粋)
農林水産大臣賞、農林水産省食料産業局長賞が、第2回,第3回の金賞に該当します。
まとめ
スーパーで売られている豆腐には絹ごし豆腐、木綿豆腐、充填豆腐などがあり、味重視の豆腐には寄せ豆腐、ざる豆腐などがあります。豆腐は凝固剤によって味が変わりますが、特に昔ながらの「にがり(塩化マグネシウム)」を使った豆腐がおすすめです。日本各地の美味しいお豆腐をぜひ味わってみてください。