マグネシウムの働き・多い食品を解説。にがりや海洋深層水で補給もおすすめ
マグネシウムは、体内でさまざまな働きをするミネラルの一種です。厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」でも、マグネシウムが長期間不足すると心疾患や糖尿病など生活習慣病のリスクが高まる可能性があることに触れられています。マグネシウム不足を解消できるよう、日々の食生活に取り入れるべき食材について知っておきましょう。
マグネシウムってどんな栄養素?
そもそも、マグネシウムとはどんな栄養素なのでしょうか。マグネシウムの働きや必要量についてご紹介します。
マグネシウムとは
生体内で600種類以上もの酵素反応に関わっているミネラルの一種で、成人の体内には20〜25g存在し、そのうち60〜65%が骨に含まれています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日のマグネシウムの摂取推奨量は以下の通りです。
- 【男性】
- ・18〜29歳:340mg
- ・30〜64歳:370mg
- ・65〜74歳:350mg
- ・75歳以上:320mg
- 【女性】
- ・18〜29歳:270mg
- ・30〜64歳:290mg
- ・65〜74歳:280mg
- ・75歳以上:260mg
- ※妊娠している女性の場合、1日あたり40mgプラスして摂取するのが望ましい
一方で、実際に摂取している量は(国民健康・栄養調査令和元年版)以下のようになっています。
- 【男性】
- ・20〜29歳:227mg
- ・30〜39歳:236mg
- ・40〜49歳:251mg
- ・50〜59歳:265mg
- ・60〜69歳:286mg
- ・70〜79歳:298mg
- ・80歳以上:269mg
- 【女性】
- ・20〜29歳:192mg
- ・30〜39歳:205mg
- ・40〜49歳:219mg
- ・50〜59歳:233mg
- ・60〜69歳:269mg
- ・70〜79歳:275mg
- ・80歳以上:236mg
以上のことから、日本人はそもそも全体的にマグネシウム不足と言えるでしょう。具体的に算出すると、30〜49歳の男性は約130mg、女性は約80mg足りないことがわかります。これは、穀類や海藻類など、マグネシウムの豊富な食物の摂取不足や、ファストフードなどに含まれる「リン酸塩」の摂りすぎの2つが主な原因と考えられています。
マグネシウムは体内でどんな働きをする?
マグネシウムには、以下のような働きがあります。
○循環器官の機能を保つ
・血管を拡張させ、血圧を下げる
・循環器官が正常に機能するのを助ける
○生体反応の媒体になる
・カルシウムとともに、神経〜筋肉間の興奮伝達などに役立つ
○エネルギー産生
・エネルギーの産生に関わる、数種類の酵素の作用を促進する
○遺伝に関わったり、骨・歯を形成する
・遺伝を司る核酸の代謝に関わったり、タンパク質を合成する
・骨を形成し、骨の代謝を正常に維持する
マグネシウムは、血液や骨、神経反応、エネルギー、遺伝と、身体を構成するさまざまな要素に関わるミネラルなのです。
マグネシウムが不足すると…
前述のように、マグネシウムは神経や筋肉の興奮に関わる、重要な栄養素です。不足してしまうと、さまざまな疾患を引き起こす可能性があります。特に、アルコールを多く飲む人やストレスの多い人は、積極的に摂取するようにしましょう。
ストレスとマグネシウムの関係についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ほかにも、細胞内にカルシウムが溜まり、筋肉が酸素を消費しすぎたり興奮しすぎたりして、筋肉疲労の原因にもなることがわかっています。
マグネシウムと疲労回復については、こちらの記事をご覧ください。
マグネシウムの摂りすぎで困ることはある?
マグネシウムの過剰摂取が心配という人もいますが、通常の食生活で過剰摂取になることはまずありません。もし多めに摂取したとしても、余分なマグネシウムは尿中に排泄されるからです。ただし、サプリメントなどで一度に大量に摂取した場合、下痢を引き起こすことがあるので注意しましょう。
マグネシウムが豊富な食材18選!
マグネシウムの豊富な食材の頭文字を合わせて「そばのひ孫と孫わ(は)やさしい子かい?納得!!」と覚えましょう。
- そば:100gあたり190mgのマグネシウムのほか、良質のタンパク質やビタミンB1・B2も豊富
- バナナ:100gあたり32mgのマグネシウムのほか、カリウムやカロテンも。吸収が穏やかな糖質も摂取できる
- ひじき:7gあたり43mgのマグネシウムのほか、カリウムやカルシウム、ビタミンも豊富
- 豆: 総じてマグネシウムが多いが、特に多いのは大豆やたけあずき、花豆など
- 五穀:五穀米のことで、カルシウムや食物繊維、鉄分やビタミンなど各種栄養素も含む
- 豆腐:100gあたり44mg(絹ごし)のマグネシウムのほか、良質のタンパク質やカリウム、鉄分も摂れる
- 抹茶:10gあたり23mgのマグネシウムのほか、ビタミンKやカリウム、葉酸なども豊富
- ごま:10gあたり36mgのマグネシウムのほか、良質な脂質やカリウム、カルシウムなども含む
- ワカメ:100gあたり410mgのマグネシウムのほか、カリウム・カルシウム・ビタミンKなども豊富
- 緑色野菜:バジル、ほうれん草、おくら、ふきのとう、モロヘイヤ、ケール、春菊、ブロッコリーなど
- 魚:さば、鮭、金目鯛、まぐろ赤身、かつお、かじきなど
- しいたけ:100gあたり14mgのマグネシウムのほか、カリウムや葉酸、鉄分も摂れる
- いちじく:100gあたり14mgのマグネシウムのほか、カリウムや鉄分、食物繊維も摂れる
- 昆布:100gあたり約500〜700mgのマグネシウムを含む。特に長昆布がおすすめ
- 牡蠣:100gあたり74mgのマグネシウムのほか、亜鉛や鉄分も豊富
- いも類:じゃがいもやこんにゃく、さつまいもなどに多い。やつがしらなどのサトイモもおすすめ
- 納豆:1パック(45g)あたり45mgのマグネシウムのほか、良質なタンパク質、カリウム、鉄分、食物繊維、ビタミンB2・B6など嬉しい栄養素がたくさん
- とうもろこし:生を買ってきて電子レンジ調理するのがマグネシウム摂取におすすめ。
マグネシウムはたまに大量に摂取するのではなく、普段から摂取することが大切です。上記の食材を、毎日の献立にバランスよく組み合わせましょう。
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マグネシウムたっぷりスイーツ
豆腐
ほうれんそうの含まれたグリーンスムージー
マグネシウムを効率よく摂取するには?
カルシウムと一緒に、バランスよく摂取すると良いでしょう。特に、マグネシウム:カルシウム=1:2の割合が理想です。
その他、マグネシウムの豊富な「にがり」や海洋深層水飲料を摂取するのも効率的です。にがりは、海水から塩を取り出した際に残った液体で、海洋ミネラルのマグネシウムを豊富に含んでいます。無味無臭なので、ご飯を炊くときやお茶・水などの飲料に数滴加えるだけで構いません。
マグネシウムは加熱で変質せず雑味を感じにくいので、食べ物の味を邪魔せず、どんな食材とも合わせやすいのが嬉しいポイント。水分補給として海洋深層水飲料を摂取するのもおすすめです。
まとめ
マグネシウムは血圧を下げたり、カルシウムとともに神経伝達に関わったり、骨を作ったりと体内でさまざまな働きをしています。マグネシウムの豊富な食材を摂取したり、にがりや海洋深層水飲料を利用したりして上手にマグネシウムを摂取しましょう。