【マクロビオティックで自分自身を知ろう!】芥川舞子先生にお話をお伺いしました!
マドンナやトム・クルーズが実践していることでも知られる食事法「マクロビオティック」。ヨガインストラクターやモデルなど幅広く活躍している芥川 舞子先生も、そのひとりです。 「マクロビオティックは単なる食事法にとどまらない、生き方に良いインスピレーションを与えてくれます。」 そう語る彼女に、魅力や実践する際のポイントを伺いました。
――本日はよろしくお願いいたします!まずは、先生の簡単な自己紹介をお願いします。
芥川:1997年〜2005年までモデルとして活動し、2005年からはヨガインストラクターとして、ヨガスタジオやイベント、セミナーでの指導、若手インストラクターの育成などに携わってきました。2010年からマクロビオティックの師範資格を取るために学校に1年通い、ヨガを教えながら料理教室の開催などをしてきました。
――マクロビオティックと出会ったきっかけを教えてください。
芥川:きっかけは、1歳を迎える娘の離乳食です。「どういったものを食べさせてあげればいいのだろう?」と調べてたどり着いたのがマクロビオティックでした。
もともと、自分が食事をするときも、有機野菜を食べたり、作りたての料理を食べたりするほうがおいしく感じていたので、単純に栄養素やカロリーだけではない何か不思議な力を食に感じていました。マクロビオティックは「食物の持つエネルギーを調合して、自分に合わせた形にすることが料理ですよ」と教えていて、これはまさに自分が求めているものだと思ったがきっかけです。
――マクロビオティックに出会ってから、食生活はどのように変化しましたか?
芥川:食生活は、お米と野菜と発酵食、この3つを主としたシンプルなものになりました。難しい料理をするよりも、旬のお野菜を知りながらシンプルに茹でたり焼いたりして頂くことが、とても豊かに感じられるようになりましたね。
――最初にお米と野菜を取り入れてから発酵食を取り入れるような感じでしょうか?
芥川:まさしくそうですね。発酵食といっても、お味噌汁を1日1回飲むだけでいいと思います。定期的に取ることによって、栄養素として体にちゃんと蓄積されていくので、毎食1杯ではなくても、1日1回や2日に1回でも定期的にお味噌汁を飲むのがおすすめです。
――マクロビオティックは、どんなところから始めるのが良いのでしょうか?
芥川:まず私が学んだのが「お米をしっかり食べましょう」ということで、食事量のだいたい半分ぐらいをお米にするところから始めました。
マイクロビオティックでは食材を全体として捉えるという概念がありまして、なるべくありのままの食材のほうが望ましいとされています。例えば、玄米のように皮を剥いでいない状態のお米を主食にして、毎日の生活に取り入れるという感じです。
それを踏まえて、我が家では「発芽玄米1:白米1」のブレンドが黄金比です。白米だけだと少し栄養素的に心配かなと思って玄米を半分入れましたが、おいしさと消化の良さを両立できて、子どもも食べやすくなりました。
これから始める方は、まず「どういう配分で何を食べるか」を気にするところから始めたほうが良いと思います。今までの食事を振り返ったときに、野菜だけ極端に食べていたりお菓子やお肉をいっぱい食べたりというアンバランスなところが見つかるかもしれません。
――上級者向けになってくると、どういう食事になりますか?
芥川:やはり無理をすると続かないので、楽できる範囲で続けられることとして、皮をむかずにお野菜を調理することから始めるのがいいかなと思います。
マクロビオティックの考え方として、
・一物全体(全体を一つとして捉える)
・身土不二(身体と環境は二つに分けることができない)
・陰陽五行の法則(陰と陽の2つのエネルギー、さらにそこから木火土金水の5つのエネルギーに分類する概念)
この3つの概念を柱にした食養法があるのですが、皮をむかないで野菜を調理し食べるというところから、この一物全体っていう概念を取り入れることができると思います。
実際に調理の工程が減るので簡単ですし、楽でありながらごみも減り、マクロビオティック的には、皮と身の間の栄養素もしっかりと取ることができます。
――身土不二と陰陽五行の法則についても教えて下さい。
芥川:「身土不二」は、土地と自分自身は切り離せないという観点から、自分が生まれ育った土地のものを食べるとか、今住んでるところから近いものを取るほうがあっているという考え方です。国産や地元で作られた食材を食べるというイメージです。
「陰陽五行の法則」については、マクロビオティックの観点でいうと、食材を陰性と陽性といった二極のエネルギーに分類して捉えるという概念があります。比較的丸い形の野菜はエネルギーのバランスが取れているとみなしていて、どちらにも偏っていないから陰のエネルギーも陽のエネルギーもバランスよく入っていますよ、という意味合いが含まれています。
例えば、キャベツ、かぼちゃ、玉ねぎなどの野菜は丸いので、陰と陽のバランスがいいとされている野菜です。
――調味料や味付けはどうしていますか?
マクロビオティックでは塩を重宝しています。塩は、エネルギーとしてはかなり陽性です。陽性は求心力なので引き出すという力が備わっていると言われています。
お野菜に少し塩をかけたりまぶしたりこすったりした状態で蒸すと、本当にそれだけで素材の美味しさが引き立ちます。塩味を付けるということではなくて甘さを出す意味合いで、少量の塩を蒸す前にまぶすのがおすすめです。
あとは、決まりというわけではないですが、マクロビオティックではみりんは使いません。当然ながら砂糖も使わないので、甘さはかなり控えめになりますが、うまく重ねて調理したり時間を少し工夫して火を入れたりすることで甘さが引き立ちます。
――マクロビオティックのお料理で、難しいところや簡単なところはありますか?
芥川:最初は、考えたり今までの習慣を変えたりするという点で3カ月から半年は少し工夫が必要になり、難しく感じる場合もあると思います。ただ、実際に調理していううちに自分の中で楽にできる方法が模索できていくので、恐らく皆さんがイメージしているよりも簡単だと思います。
調味料が少なくなる分、簡単でエコだしお金もかからないという部分がありますが、それと同時にひと手間加えないといけない調理のコツがあるので、そこが少し難しく感じる場合もあります。足し算引き算で、簡単な部分と少し大変な部分があるかもしれないですね。
――実際のお食事を教えてください。
芥川:朝起きてから歯を磨き、60~70℃くらいの白湯を飲みます。最初に口に入れるものは必ず白湯ですね。単純に体に優しい、温まるということもそうですが、今、体がどれぐらい冷えているのか、あるいは暑いのかということが確認できます。ですので、夏場でも白湯を飲むようにしています。
白湯が胃の中で暑く感じるときもあるのですが、そういうときは冷えているなと判断できます。
――そのあとで朝食ですか?
芥川:朝ごはんは基本的に食べないです。あまり体質に合わないようで、小さいころから食が細くてどうしても朝ごはんが食べられませんでした。社会人になって自分で好きなように食事が取れるようになり、思い切って食べないようにしてみたら調子が良くなりました。
それからずっと朝は食べずに、12時~13時の間にとる昼食が初めての食事という感じになっています。
――自分の体質にはそれが合っていたということでしょうか?
芥川:そのとおりです。マクロビオティックでも、自分に合わせるというのが主軸になった教えなので、必ず三食食べなきゃいけないということが、そもそも自分に本当に合っているのかということをまず確かめてほしいと教わりました。
空腹の状態であればヨガもしやすいので、比較的朝の時間帯にヨガをして、それからお仕事に入ります。
娘がいるので、夕食はだいたい自炊をしています。お味噌汁を必ず添えて、野菜中心にしたいので、生野菜のサラダを大量に食べます。たまにお魚を中心にタンパク質を取りますが、仕事をしていると外食する機会も多いので、家ではなるべくタンパク質は植物性から取りたいため、野菜中心のおかずを取るようにしてます。
なるべくたくさん食事の種類を取るようにしたいので生、蒸す、焼くといった調理法をミックスして毎食出せるようにしてます。
――マクロビオティックに出会ってから、考え方はどのように変化しましたか?また、ご自身の身体や体調の変化はありましたか?
芥川:自分自身は、さまざまなものと関わり合って生きていることを実感するようになりました。環境や季節、忙しさや対人関係などが自分の体調や性質に影響していることを知ると、食事を変えるだけでなく全てを含めて良くしていこうという気持ちになりました。
マクロビオティックを始めた10年前は、まだ若くトラブルも無かったので、劇的な体調の変化はありません。私の場合は、マクロビオティックだけではなくヨガも含めて何が一番効果的だったのか分からないのですが、今も始めた当時から体型は変わらず、血液検査などの結果も良好で、風邪も滅多にひきません!
変わったというよりも、当初の健康状態を維持できているのが、もしかしたら効果かもしれないと思っています。
――料理教室もやられていると伺いましたが、生徒さんからマクロビオティックを実際に取り入れてみて自分が変わったといったような声はありますか?
芥川:生徒さんからは、食に対する意識が変わるというよりも、自分の生活に対する意識が全体的に変わってきたという声をいただくことが多いです。何時に寝るとか朝どうやって過ごすかとか仕事でどこまで頑張るかとか、そういったことも含めて自分に合わせて生きやすく健康に過ごすことに注目するようになったということは伺います。
あとは、腎臓が悪くてもう少しで透析というご主人をお持ちの方が、習った通りの料理を作り続けていたら数値がすごく良くなって、健康を取り戻したという話も聞いたことがあります。単純に体重が落ちた!という話もよく聞きますね。
――生活習慣が良くなったということでしょうか?
芥川:すごく不思議ななことなのですが、食事が変わることで体が健康になり、不要なものを排除し、必要なものをしっかり取り入れることができるようになってきます。発想や思考も健全になっていき、自分を痛めつける考え方ではなくて「自分をいたわる」という考え方に変わってくるのだと思います。
――ヨガとマクロビオティックに共通することや違うことなどはありますか?
芥川:共通点は、自分が全体の一部、全体が1つという捉え方をするところです。たとえ体の健康から入ったとしても、やはり心の健康も気になるようになっていきます。自分自身を形成しているものが全て繋がって関連性をもって今の状態になっていることに経験で気づけるようになってくるという点で、マクロビオティックとヨガはすごく近いものがあると考えています。
異なる点は、ヨガは発祥がインドでマクロビオティックは日本だということ。それによって、マクロビオティックの概念のほうが日本人にとって馴染みがあるかもしれません。ヨガはマクロビオティックよりもはるかに歴史が長いので、インド発祥と言えども、それぞれの風土に合わせて実践するノウハウが溜まっているので、日本人に合わせにくいわけではないとは思います。
食から始めるか、身体を動かすほうから始めるか、その違いにより、どちらが簡単に始められるかはその人それぞれ違うと思いますので、自分がやりやすいほうから入っていくと良いかと思います。どちらから入っても、結局は両方とも必要なのだというところに行き着くはずですよ!
――マクロビオティックに興味がある人や、これから始めてみようと考えている人に向けて、一言お願いします。
芥川:マクロビオティックは単なる食事法にとどまらない、生き方に良いインスピレーションを与えてくれます。できることからぜひ始めてみてください!