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女性のためのセルフウェイトトレーニングで、美ボディを手に入れよう

最近、筋力トレーニングに積極的に取り組む女性が増えています。しかし、女性の中には、「筋トレをしても男性のように強くなれない」、「ハードにトレーニングしてムキムキになりたくない」と思うあまり、小さいダンベルを軽く使い、筋トレをやった気になっているという人も少なくないようです。 そこで、今回は女性におすすめのセルフウェイト(自重)トレーニングをご紹介します。女性にとっての効果もご紹介しますので、筋トレをしようと思っている人はぜひチェックしてください。

セルフウェイトトレーニングを始めよう

まずは、セルフウェイトトレーニングがおすすめな理由から見ていきましょう。

女性は筋トレでもムキムキになりにくい?

個人差はありますが、同じ体重の男女では一般的に、女性の筋力は男性の60%程度で、上体だけで見ると50%、脚部で70%程度と言われています。しかし、筋力を筋の断面積で割った数値を見ると、男女差はほとんどなくなります。つまり、同じ体重でも比較的男性のほうが筋肉質なため筋断面積が大きく、これが筋力の違いにつながっていると考えられます。

したがって、女性でもしっかり筋肉をつければ、男性に負けない筋力を得られるでしょう。とはいえ、筋力増大に必要なホルモン分泌量の違いがありますので、ハードに筋トレを行ってもすぐにムキムキになることは、特に女性では起こりにくいのです。

セルフウェイトトレーニングで筋力アップ!

セルフウェイト(自重)トレーニングとは、ダンベルやバーベル、マシンなどを使わず、自分の体重を抵抗として使う筋力トレーニングです。よく知られているセルフウェイトトレーニングには、プッシュアップ(腕立て伏せ)、スクワット、プルアップ(懸垂)などが挙げられます。道具や設備がなくてもすぐに始められて手軽ですが、適切なフォームや方法で行わなければ効果が出にくいばかりか、ケガなどにつながりかねませんのでよく注意しましょう。

セルフウェイトトレーニングは、筋力のみならず、持久力やバランス力、体幹力、全身の機能性(動きの質)、安定性と姿勢の改善、柔軟性や可動性も改善できるファンクショナルトレーニングの一つです。バーベルやマシンを使った筋力トレーニング以上の効果が期待できるかもしれません。加えて、トレーニングの継続性や利便性が高く、経済的な負担を軽減できるため、ぜひ活用したいところです。

セルフウェイトトレーニングは女性にどんな効果がある?


セルフウェイトトレーニングは、女性にとって特に以下の3つの点で効果が見込まれます。女性にとってのセルフウェイトトレーニングのメリットも確認しておきましょう。

①:骨の健康

加齢とともに影響を受けやすい女性の骨の健康維持にも、筋力トレーニングが有効です。特に閉経後の女性では、エストロゲンの分泌低下による骨密度の減少で、骨粗しょう症のリスクが高まります。セルフウェイトトレーニングでは、マシンを使ったトレーニングと比べ、体重を支えるための姿勢維持や動作が必要とされますので、骨への刺激が大きく骨の健康維持に有効と考えられます。

②:筋量の維持

40歳を過ぎたころから、筋量は著しく低下していきます。筋量低下は基礎代謝の低下につながり、体脂肪が蓄積しやすい体質になってしまうのです。体脂肪が増えると高血圧や心不全など心臓循環系の疾患や、糖尿病などの代謝系の疾患のリスクを高めます。これら疾患リスクを抑えるためにも筋量を維持・増加させ、体脂肪が過剰に蓄積されないよう、体脂肪を有効に消費しましょう

③:自己効力感の改善

セルフウェイトトレーニングを行うと、セルフエフィカシー(自己効力感)やセルフエスティーム(自己肯定感)を高められるとされています。トレーニングを適切な方法で計画的に行うと、早かれ遅かれ、何らかの結果が得られるでしょう。

例えば、「腕立て伏せが1回もできなかったのに5回もできるようになった!」などの達成感は自信につながり、その自信が仕事や子育てなどにも役立ちます。また、自重で全身を意識することは、自己を見つめ見直すことにもつながり、そこにトレーニング効果が重なると自尊心の向上に役立ちます。

セルフウェイトトレーニングを実践しよう

では、セルフウェイトトレーニングを実践してみましょう。代表的なセルフウェイトトレーニングのやり方を写真付きでご紹介しますので、ぜひ実際にやってみてくださいね。

女性におすすめのセルフウェイトトレーニング

男性と比較して、女性の体は腰部が広く、左右のバランスをとるために、股関節や膝関節への負担が大きくなります。したがって、これらを鍛えるため、膝関節を使ったエクササイズ(スクワットやランジなど)や股関節を使ったエクササイズ(ヒップアダクションやヒップアブダクション、ヒップブリッジなど)を中心に行うと良いでしょう。

また、女性は比較的男性と比べて上体の筋力が低い傾向にあり、仕事や家事など日常生活での背中や腰、肩への負担も大きいことから、これら上体の各部位も意識してトレーニングしましょう。胸部や肩前部、上腕後部を使うプッシュアップ、腹部や腰部などの体幹を使うプランク、背中や肩後部を使うローイングやプルアップなどが有効です。

代表的なセルフウェイトトレーニング

以下、代表的なセルフウェイトエクササイズです。下記「セルフウェイトトレーニングの注意点」も心がけながら、ぜひ取り組んでみてください。

①スクワット:大腿四頭筋(大腿前部)・大殿筋(臀部)・ハムストリング(大腿後部)

②フロントランジ:大腿四頭筋(大腿前部)・大殿筋(臀部)・ハムストリング(大腿後部)・腸腰筋(股関節)

③サイドランジ:大腿四頭筋(大腿前部)・大殿筋(臀部)・大腿内転筋(大腿内側)

④プッシュアップ:大胸筋(胸部)・三角筋(肩前部)・上腕三頭筋(上腕後部)

⑤パイクプッシュアップ:大胸筋(胸部)・三角筋(肩中部)・上腕三頭筋(上腕後部)

⑥ディップス:上腕三頭筋(上腕後部)・三角筋(肩前部)

⑦プルアップ:広背筋(背上部)・脊柱起立筋(腰部)・三角筋(肩後部)

⑧ローイング:広背筋(背上中部・肩甲骨周辺)・三角筋(肩後部)・上腕二頭筋(上腕前部)

⑨ヒップブリッジ:大殿筋(臀部)・ハムストリング(大腿後部)・脊柱起立筋(腰部)

⑩ヒップアブダクション:大腿外転筋(大腿外側)・小殿筋(臀部)・中殿筋(臀部)

⑪ヒップアダクション:大腿内転筋(大腿内側)

⑫シングルレッグデッドリフト:大殿筋・ハムストリング(大腿後部)・脊柱起立筋(腰部)

⑬プランク:腹直筋(腹部)・腹横筋(腹部)・脊柱起立筋(腰部)・腸腰筋(股関節)

⑭サイドプランク:腹横筋(腹部)・内腹斜筋(腹脇部)

⑮バードドッグ:脊柱起立筋(腰部)・大殿筋・三角筋(肩後部)

⑯クランチ:腹直筋(腹部)

⑰ヒールレイズ:下腿三頭筋(ふくらはぎ)

⑱トゥレイズ:前脛骨筋(すね)

セルフウェイトトレーニングの注意点


最後に、セルフウェイトトレーニングを行う際の注意点をご紹介します。セルフウェイトトレーニングを行うときには、ぜひ以下の5つのポイントを心掛けながら行いましょう。

大腿筋群など、大きな筋群を使うエクササイズから始めよう

小さな筋群(たとえば下腿筋など)から始めると部分的な疲労が起こり、その後の大筋群を使ったエクササイズを行う際に十分な刺激や効果が得られないケースがあります。また、多くの筋が動員されるほど有酸素的な負荷も加わるため、有酸素能力も高められます。

個々の関節が関与する動きのバランスを取ろう

例えば、プッシュアップなどの押す動作で胸部や肩の前部をトレーニングする場合、次にプルアップやローイングなどの引く動作を伴うエクササイズを行い背部や肩の後部をトレーニングすると、関節の動きや活動筋のバランスを取れます。

一つの関節を中心に動きのバランスを取ることで傷害の予防になり、動作効率を改善するのにも役立ちます。また、エクササイズを交互に行うことは、血流を一方の活動筋から他方の活動筋へ交互に移動させられるため、心臓循環系の働きを高められます。上体と脚部のエクササイズを交互に行うのも有効です。

強度を調整しよう

姿勢や身体の位置を変えたり、体重を支持する部位を変えたりすることで、強度を調整できます。たとえば、プッシュアップではつま先でなく膝で体重を支えたり、フロアではなくベンチまたはソファの上に手を置いたりすれば、負荷を軽減できます。

何回、何セット行えばいい?

各セルフウェイトエクササイズは、1セットあたり8回から12回繰り返します(姿勢を維持するエクササイズは10秒~60秒以上)。これを2セットから4セットくらい行うと良いでしょう。セット間には2分程度のレスト時間を取るのがおすすめですが、レスト時間を短くすれば有酸素能力を高めることにもなります。どちらが良いかは、体調や目的を考慮して決めましょう。

セルフウェイトトレーニングは、週2回から3回実施しましょう。1回あたりのトレーニングでは、全身のさまざまな筋群を使えるよう、8~10種目のエクササイズを実施するのがおすすめです。ただし、最初は、2~3種目を各1セット、週1~2回程度と無理のない範囲で始めると良いでしょう。

常に安全に気を配ろう

セルフウェイトエクササイズは器具を使わなくても実施できるため、自宅のちょっとしたスペースでも行えますが、常に安全には留意してください。周りに家具や壊れやすいものなどがあると、体をぶつけたり、物が落ちたり倒れてきたりすることもありますので要注意です。

また、屋内での実施は時間帯や天候の影響を受けにくいメリットがありますが、屋外の階段やベンチなどを使うことでも有効なエクササイズができます。晴れた日や日中にはぜひ、屋外でのトレーニングも併用すると良いでしょう

まとめ

女性は性ホルモンの関係上、筋トレをしても男性と比べてムキムキになる可能性は少ない反面、男性に負けないくらいの筋力を得ることもできます。筋量維持だけでなく、骨の健康や自己肯定感の改善にも有効です。自分の体重を利用するセルフウェイトトレーニングなら、ダンベルやバーベル、マシンなどの特別な道具を使わなくても手軽に始められます。今回ご紹介したトレーニングを参考に、注意点には気をつけながら安全かつ効果的に行いましょう。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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