知ると美味しくなる塩のストーリー①:世界の塩ってどんな塩?
塩は、世界中で親しまれている代表的な調味料です。誰にでも馴染み深い食卓塩から岩塩、フレーバーソルトなど、世界中でさまざまな塩が楽しまれています。今回は、そんな塩の原料の違い、日本にはどんな塩があるのか、塩の性質について解説します。塩を使ったレシピや、フレーバーソルトの作り方などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
塩の原料って?
日本人にとってなじみ深い塩は、海水からできた海塩です。ところが世界を見ると、海塩の生産量は全体の1/3~1/4で、残りは岩塩や湖塩など、海水以外の塩資源からできたものです。世界では、その土地の環境にあった方法で様々な塩が作られています。
海塩
海水から作られる塩には、以下の3種類があります。
天日塩(てんぴえん)
海水を塩田に引き込み、太陽・風の自然エネルギーで水分を蒸発させて塩を作る方法で、半年から2年もの時間をかけて結晶化します。天日製塩は燃料を使わないため、世界で広く行われていて、シャークベイ塩田(オーストラリア)、ゲレロネグロ塩田(メキシコ)などがあります。
せんごう塩
海水を煮詰めて水分を蒸発させる方法です。日本は海に囲まれて海水が手に入りやすいことと、雨が多いため天日製塩に向かない環境であることから、海水を煮詰めて塩を作っていきます。
その他
噴霧乾燥…スプレードライ、スプレードライングとも呼ばれ、海水を高温の気体中に噴霧して水分を蒸発させ、乾燥粉末となった塩を取り出す方法。
加熱ドラム… 海水を濾過して濃縮、製塩ドラム上に滴下して瞬時に水分を蒸発させることで塩の固体だけを取り出す方法。
湖塩(こえん)
元々海だったところが地殻変動で陸に閉じ込められ、水分が蒸発すると濃い塩分の湖(塩湖)になります。
岩塩
塩湖が2~3憶年かけて干上がり塩が結晶化し、その上に土や砂が積もり、一部が陸に閉じ込められてできたのが岩塩です。世界の塩の多くは岩塩から作られますが、日本にはありません。
岩塩は採掘した塩を洗浄する場合と、掘り出して溶かし、ポンプでくみ上げて煮詰め、塩を作る場合があります。岩塩のかたまりには様々な鉱物が混ざって色がついています。ピンク色の岩塩は、鉄を含んでいます。ポーランドのウェリチカ鉱山「塩の宮殿」などが有名です。
一口に塩と言っても、そのでき方や作り方はさまざまなんですね!
日本の塩
日本は四方を海で囲まれていることから、昔から海水から塩を作っていました。海水に含まれる塩は、3%ほどしかありません。海水を直接煮詰めて水分を蒸発させると、1Lの海水から30gくらいの塩ができますが、燃料効率が悪く労力がかかり過ぎるため、いったん海水の塩分を濃くし、それを煮詰める方法が採られてきました。
海水には塩化ナトリウム以外にも多種類のミネラルが含まれています。それらのミネラルが、塩の奥深さやまろやかさにつながります。
塩の性質
一般的に販売されている塩を見比べると、以下のように分けられます。
・さらさらタイプ、しっとりタイプ
・大粒、小粒
・にがり(主成分:塩化マグネシウム)を含む、にがりを含まないタイプ
これらの特徴の組み合わせによって、塩の味わいや料理への効果が変わってきます。
詳細は次回「知ると美味しくなる塩のストーリー②」に続きます!
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まとめ
一口に塩と言っても、そのでき方や作り方はさまざまです。日本では雨が多く、天日製塩に向かないことから、海水を煮詰める「せんごう塩」や噴霧乾燥、乾燥ドラムなどで作ることが多いです。海水から作られる塩にはにがり(塩化マグネシウム)以外にもさまざまなミネラルが含まれており、料理に使うと複雑な味わいやコクが生まれます。ぜひ、料理に活かしてみてくださいね。