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カルシウムがもたらす効果とは?マグネシウムを一緒に摂取しよう

健康な骨づくりや身体づくりのため、子どもの頃から牛乳を飲んでいた人は少なくないでしょう。牛乳にはカルシウムが豊富に含まれ、骨の量や密度を増やしてくれることはよく知られていますが、他にもカルシウムの良い効果はたくさんあります。今回は、そんなカルシウムの良い効果や摂取するときのポイントを見ていきましょう。

日本人にはカルシウムが足りない

カルシウムといえば、骨を作る大切な栄養素の一つです。健康維持には不可欠で、毎日の推奨摂取量が定められています。「日本人の食事摂取基準2020年版」(厚生労働省)によると、年代別の女性のカルシウム摂取推奨量は以下の通りです。

  • ・18-29歳:661mg/日
  • ・30-49歳:660mg/日
  • ・50-64歳:667mg/日

しかし、実際には20歳代の女性で推奨量の58%、30歳代および40歳代の女性で67%、40歳代の女性で73%、60歳代の女性で84-86%となっています。つまり、日本人女性全体として、毎日のカルシウム摂取量が不足している傾向にあると言えそうです(平成30年「国民健康・栄養調査」)。

カルシウムを摂取すると身体にいいの?

これまでカルシウムの摂取量が不足していた人が、推奨量まで摂取量を増やすと血圧が改善され、心臓循環器系の疾患リスクを軽減することがわかっています。また、妊娠中の女性がカルシウムを十分に摂取すると、妊娠に伴う高血圧のリスクを減少させるとされています。カルシウムサプリメントの摂取により、LDL(悪玉)コレステロールが低下し、HDL(善玉)コレステロール増加する可能性も示唆されています。

さらに、カルシウムの十分な摂取は骨の健康にとっても重要です。骨量を維持するためには十分なカルシウムの摂取が必要であり、特に閉経前の女性では、カルシウム摂取が多いほど骨量も多いことが知られています。女性では閉経後に骨粗しょう症のリスクが高まりますので、それまでに適切な骨量を維持しておかなくてはなりません。摂取推奨量に見合ったカルシウムをできるだけ毎日摂取し、丈夫な骨を保ちましょう。

ビタミンDやマグネシウムを一緒に摂取すると、カルシウムの吸収促進に

食品から摂取したカルシウムの吸収は、年齢や妊娠(授乳)、食品に含まれる他の成分などによって影響を受けます。例えば、ビタミンDやマグネシウムを同時に摂るとカルシウムの吸収が促進されることがわかっています。骨の主要成分にはカルシウムだけでなくマグネシウムも含まれていますので、両方を適切に摂取することが骨の形成には有効です。

過剰なカルシウム摂取は尿路結石の原因となる可能性もありますが、一緒にマグネシウムを摂取すると、尿路結石の原因となる「シュウ酸(ほうれん草、青いバナナなどに多く含まれる)」の吸収を抑え、シュウ酸がカルシウムと結合して結石になるのを防いでくれると考えられます。ぜひ、カルシウムとマグネシウムを一緒に摂取するよう心がけましょう。

カルシウムの摂りすぎには注意!

このように、健康維持のためにはカルシウムを適切に摂取することが必要とわかります。ただし、すでに適切に摂取している人では、さらに摂取量を増やしたとしてもその有効性は限定的とされています。

また、サプリメントなどによる過剰なカルシウム摂取は、高カルシウム血症(尿症)、腎結石、鉄や亜鉛などの必須ミネラルの吸収障害、便秘などが生じる可能性がありますので、注意しましょう。カルシウムは、できるだけサプリメントよりも食品の成分として摂取することが、過剰摂取を防ぐ上でも有効と考えられます。

カルシウムはダイエットにも役立つ!?

最近の研究では、14週間にわたり週3回のサーキットレジスタンストレーニング*1を実施した閉経後の女性において、糖質を中心とした低カロリーダイエット食*2とカルシウム摂取の組み合わせが体重減少に有効であったことが報告されています。また、カルシウムと合わせてビタミンDやマグネシウムなどを同時に摂取した場合では、体脂肪量が減り、減量に伴い起こりがちな筋量の低下を抑制したことも示されています。

*1 サーキットレジスタンストレーニング:13種類のマシンエクササイズからなり、各種目30秒ずつ2サイクル行うもの(トータル30分)
*2 糖質を中心とした低カロリーダイエット食:糖質55%、たんぱく質15%、脂質30%からなる食事(トータル約1,900kcal/日)

つまり、カルシウムはダイエットのためにトレーニングをする人にとっても、筋肉量を落とさず体脂肪だけを落として効率よくダイエットする助けをしてくれる有用な成分だと言えます。

さらに、カルシウムが豊富に含まれる牛乳を飲むことによってカルシウム摂取量を増やし、週3回の筋力トレーニング(12週間)と組み合わせると、筋力トレーニングだけの場合より約2.5倍、牛乳によるカルシウム摂取量を増やしただけの場合より約3倍、骨密度が増加したことも最近の研究で報告されています。

ダイエットだけでなく、骨密度を増やすためにも効果的なカルシウムは、女性の強い味方になってくれるでしょう。ぜひ、食事の中で上手にカルシウムを摂り入れてみてください。

まとめ

カルシウムは健康維持に必要不可欠な栄養素の一つです。過剰摂取に気をつけながら、推奨量に見合うよう適切に摂取しましょう。体重管理や筋力アップなどを目的として運動を行う場合では、適切なカルシウム摂取によって相乗的に効果がもたらされる可能性も期待できます。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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