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マグネシウムの不足に注意!その効能効果や多く含まれる食品は?【管理栄養士監修】

現代人に不足するマグネシウムは、カルシウムと対で「ブラザーミネラル」と呼ばれ、健康維持に欠かせない栄養素です。ここでは、マグネシウムの働きや、不足するとどうなるのか、そして食事から効率よく摂るために注意すべき点などをご紹介します。

リラックスする女性

カルシウムと対で「ブラザーミネラル」といわれるマグネシウム。骨を作るほか、動脈硬化の予防や心の安定などさまざまな役割を担う大切な栄養素ですが、日本ではその摂取不足が憂えられています。たとえば以下の症状を感じたことはありませんか?




これらの自覚症状がある方は、マグネシウム不足が原因かもしれません。

ここでは、マグネシウムの効能効果や働き、食材、摂取方法まで、心と体の健康のために知っておきたいマグネシウムについて解説します。

深層1:生命維持に欠かせないマグネシウムの働き

マグネシウム

マグネシウムはミネラルの一種

マグネシウムは、ミネラル(無機質)の一種。ミネラルは5大栄養素の1つで、体の機能を正常に維持するうえで不可欠な役割を果たしています。また、体内で合成できないため食事から摂る必要があります。

マグネシウムの働き

マグネシウムのもっとも重要な働きは、カルシウムやリンと共に骨や歯を作ること。成人の場合、体内に約25g存在し、そのおよそ2/3が骨や歯に、残り1/3のほとんどが筋肉・脳・神経に存在します。

特徴的なのは、マグネシウム、カルシウム、リンは三角関係的に機能しており、いずれか1つが過剰(不足)状態になると全体のバランスが崩れやすいこと。そのためバランスよく3つの栄養素を摂ることが大切です。

また、マグネシウムは骨を作るだけではなく、以下の働きを担い、人の体を支えています。

  • ・体内の約300種類の酵素を活性化させる
  • ・神経の興奮を抑え、リラックスした精神状態を保つ
  • ・血管をゆるめ、心臓病予防に役立つ
  • ・体温や血圧を正常に保ち、高血圧予防に役立つ
  • ・便秘解消効果を持つ(便を柔らかくする)

深層2:現代人はマグネシウム不足?

ジャンクフード

このようにさまざまな効能効果を持つマグネシウムですが、現在の日本人は摂取量が大きく不足しているといわれています。厚生労働省の調査(※1)によると、マグネシウムの1日平均摂取量は1973年頃から減少傾向に転じ、2016年には238㎎(男性251㎎・女性226㎎)となっています。

厚生労働省はマグネシウムの1日の推奨量(※2)を30~49歳男性で370mg(50~69歳は350㎎)、30歳~69歳女性は290mgとしていることからも、現代の日本人はマグネシウムが不足気味だということがわかります。

※1)平成28年厚生労働省「国民健康・栄養調査」
※2)日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要

マグネシウム不足の要因は

マグネシウム不足の要因として、食生活が挙げられます。加工食品では煮汁に流出してそのまま捨てられてしまったり、加工食品やスナック菓子、清涼飲料水に多く含まれるリンの摂りすぎにより、マグネシウムの吸収が妨げられることなどが懸念されています。

さらに現代人のストレスも、マグネシウムの欠乏を進ませる要因の1つといわれています。ストレスがかかると分泌されるノルアドレナリンがマグネシウムを消費するため、必要なマグネシウムの量がどんどん減っていってしまうのです。

そのほかにも大量のアルコール摂取も要注意。血中アルコール濃度が高まると、マグネシウムが尿中に排出されてしまうためです。

マグネシウムが不足した場合の症状は

マグネシウムが不足すると、食欲不振、疲労感などの症状があらわれます。欠乏が進むと骨がもろくなり、筋肉のけいれん、こむら返り、不整脈、動脈硬化などの症状が生じる可能性があります。筋肉のけいれんが血管壁で起こると、狭心症や心筋梗塞につながるおそれもあるので注意が必要です。

そのほかにもイライラや、気分がめいる、不安感など、健康面だけでなく精神面にも悪影響をおよぼすのが、マグネシウム不足による症状の特徴です。

深層3:マグネシウムが多く含まれる食品って?

ナッツ

では、マグネシウムはどんな食品に多く含まれるのでしょうか。

マグネシウムは、大豆、未精製の種実(アーモンドやカシューナッツ)、海産物(干しひじき、乾燥わかめ)など、和食によく使われる食材に多く含まれます。

マグネシウムを多く含む食材(食品)

【木の実】
・アーモンド(30g):93mg
・カシューナッツ(30g):72㎎
・いり落花生(30g):60㎎

【海藻】
・干しひじき(10g):62g
・乾燥ワカメ(5g):55g

【大豆製品】
・木綿豆腐(100g):130㎎
・納豆1パック(50g):50mg
・油あげ一枚(40g):52㎎

しかしマグネシウムは毎日大量に摂りにくい食材に多く含まれており、近年は食生活の変化からこうした穀物や豆類・海藻の摂取量が減少したことも、日本人のマグネシウム不足を招いたとする指摘もあります。

さらに食物から摂取するマグネシウムのうち、体内に吸収されるのはわずか約30%~40%。胚芽や糠を取り除く精製によって栄養分が大幅に失われてしまうことも、マグネシウム不足に拍車をかける原因になっているようです。

深層4:マグネシウムを上手に摂るには

レモン

このように健康のためには欠かせない重要な栄養素ですが、食生活を意識するだけでは、なかなか効果的に摂取できないのもマグネシウムの難しいところ。

ではどうすればマグネシウムを上手に体に取り入れることができるのでしょうか?マグネシウムをより効果的に体に吸収するためのポイントをご紹介しましょう。

ビタミンCと一緒に摂る

ストレスや精神的疲労を感じると、マグネシウムと同時にビタミンCも消費されます。マグネシウムの消費を最小限に抑え、ストレスを和らげるためにも、マグネシウムとビタミンCは一緒に補給することが大切です。

カルシウムやリンとの摂りあわせに注意!

マグネシウムは、カルシウムやリンを摂りすぎると体外に排出されてしまう性質があります。リンは加工食品や清涼飲料水に多く、カルシウムは牛乳やヨーグルト類に多く含まれるため、これらを日常的に摂る人は意識的にマグネシウムの摂取を心がけましょう。

マグネシウムとカルシウムは1:2のバランスで

効率よく吸収するには、マグネシウム:カルシウムの理想的な摂取比率は、1:2が理想的とされています。

不健康な生活に注意

慢性的な睡眠不足や過度の緊張の連続、飲酒は、体内から尿中へのマグネシウムの流出を招きます。生活の乱れを感じている方は、可能な限り、健康的な生活習慣を意識しましょう。

深層5:ミネラル豊富なお水で補う

コップに入ったお水

「飲料水1リットルあたり5mgマグネシウムが増加すると、循環器系の病気リスクが7%下がる」。これはフィンランドのルオーマが1973年に発表した論文の一文です。人が健康を保つには不可欠な栄養素として、マグネシウムは昔から注目を集めているんですね。

しかし、現代病のひとつとされるストレスにより体内消費が進み、さらに食生活や生活習慣の乱れからマグネシウムの摂取不足は加速しています。毎日の食事を見直し、足りない部分はミネラル豊富な水で補うなど工夫して、心も体も健康を維持しましょう。

※通常の食事では摂り過ぎることはありませんが、それ以外にサプリメントや薬でマグネシウムを摂り過ぎると下痢を起こすことがあるので注意が必要です。
※人工透析を受けている方は、医師の指導に従ってください。

監修者プロフィール

和田梓管理栄養士
和田梓管理栄養士

神奈川県立保健福祉大学卒。食の観点から健康・美容を叶えるレシピの開発を行う。簡単で誰でも作れる創作家庭料理、おもてなし料理が得意。

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