知ると美味しくなる塩のストーリー②:料理に使う塩の役割って?
世界中で調味料として使われている塩。では、実際に料理の中でどのように調味料として使われているのでしょうか。前回は、塩の原料と日本の塩、塩の性質について触れましたので、今回は、料理に使う塩の役割についてご紹介します。日本でも身近なところでたくさん使われている塩について、ぜひその役割を知って活用してくださいね。
塩の役割
塩が料理において発揮する役割には、以下の3つがあります。
- ・調理の味付け、かくし味
- ・保存、発酵促進
- ・下ごしらえ(青臭さをとる、ぬめりをとる、水分を除くなど)
それぞれの役割について、順番にご紹介します。
調理の味付け
最も基本的な役割として、塩は、調理の際の味付けに使われたり、加工食品に使われたりします。
塩は基本調味料の一つ!
基礎調味料の「さしすせそ」は「砂糖・塩・酢・醤油・味噌」のことで、塩はほとんどの料理に使われています。直接塩そのものを使っていなくても、塩を含んだ醤油・味噌を使って味付けしたり、食材の下ごしらえに使ったりすることが多い調味料です。
他にも、生野菜は塩をかけるだけでサラダになります。実は、そもそもサラダという言葉自体、「塩をした野菜」という意味なのです。古代ギリシャ時代に、生野菜に塩(sal)を振って食べたことから、サラダという言葉が生まれました。
同じ味付けでも、塩は少量使うことで「かくし味」としても働きます。あんこやおしるこに少量の塩を加えると、味の対比効果で砂糖だけよりも甘味が引き立ちます。また塩には酸味の抑制効果があるため、すし飯や酢の物に塩を加えると酸味が和らぎます。他にも、出汁には旨味成分がありますが、塩味が入らないと旨味成分が味として感じられません。まさに塩は、料理の要なのです。
塩で一味変わる加工食品
塩は、味付け以外にもさまざまな分野の加工食品に使われています。
うどん・そうめん
うどんやそうめんの生地は練って作りますが、塩水で練ることでタンパク質が絡み合い、コシが出て麺が美味しくなります。
かまぼこ
魚の肉に塩を加えて練ると、粘り気が出て弾力ある「かまぼこ」ができます。
パン
生地作りで塩を加えることで、うどんやそうめんと同じように小麦粉に含まれるタンパク質が絡み合います。すると、弾力のある生地になり、ふっくらとして風味のよいパンが焼けます。
保存、発酵促進
野菜や魚には旬の時期があり、もともと採れる時期は限られているものが多かったのです。そこで、まとまって収穫した野菜や魚を長期保存して食べるために、塩で保存する知恵が生まれました。
漬物(白菜漬け・梅干しなど)
野菜を塩漬けすることで、野菜の水分が抜けるとともに、雑菌の繁殖を防ぎます。また、塩は発酵を促進するため、乳酸菌が増えて旨味が増します。中でも、にがりを含む塩で漬物を漬けると歯ごたえがあり、乳酸菌の多い漬物になります。
みそ・しょうゆ
みそ・しょうゆに旨味を出すためには麹を使います。このとき、原料の大豆に麹と塩を混ぜると、塩が雑菌を抑えて麹を育てるため、美味しいみそやしょうゆが作れます。
干物
塩水にくぐらせるなどした魚を天日干しして乾燥させた干物は、塩が魚を脱水させ、雑菌が増えるのを抑えています。
下ごしらえ
下ごしらえ(仕込み)に塩を使うと、プロが作ったような美味しい料理ができますので、下ごしらえには塩使いがおすすめです。具体的には、以下のような使い方があります。
- ・エビや魚のぬめりとり(臭いもとる)
- ・焼き魚のヒレを守って綺麗に仕上げる
- ・肉や魚の旨味を逃がさない
- ・野菜の水気をとる
- ・野菜の青臭さをとる
- ・雑味をとる(辛味・苦味など)
- ・青菜の発色を良くする
- ・リンゴの変色防止
ぜひ、この一手間を活かして美味しい料理を作りましょう。特に、リンゴの変色防止や魚のぬめり・ニオイ取りなどはやっておくとぐっと保存や調理がしやすくなります。
まとめ
塩は調味料として味付けに使われることが最も多いですが、馴染み深い加工食品や漬物、干物のほか、下ごしらえなどにも広く使えます。このように、塩には料理に対してさまざまな役割があります。塩を使いこなして楽しみながら、料理の幅を広げましょう。次回は、塩の使い分けをご紹介予定です。お楽しみに!