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水にも様々な種類がある!含まれる成分や割合によって何が変わるの?

あなたは普段どのような「水」を飲んでいますか?どんな効果を期待して飲んでいますか?そう尋ねられても、水は日常的すぎる飲みものであまり意識していなかったという人が大半でしょう。とくに近年ではさまざまな種類のものが売られていて、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。そこで今回は「水」の種類について詳しく深堀りしていきます。あなたの目的や期待する効果に合った水の選び方を探っていきましょう。

1.水の分類


ここではまず水の基礎知識として「水の分類」についてお話ししていきます。

1-1.pHでの分類

水質や水の種類の基準となる「pH」値。その数値が違うと何が変わってくるのでしょうか。それではまずpH値別に水の違いを見てみましょう。pH値の数字が小さい1が最も高酸性値です。「酸性」はpH1から6までで、たとえば食酢、スポーツドリンク、炭酸飲料などがあります。「中性」は中間のpH7で、純水は中性です。pH8から14のものが「アルカリ性」となります。石鹸はアルカリ性、水道水はアルカリ性寄りです。酸性値の高い飲料ほど、刺激が強い傾向にあります。ではpH値は何で決めているのでしょうか?それは水素イオンの含有量です。水素イオンの量が少なくなるのに比例して、pH値の数字が高くなっていきます。

1-2.硬度(こうど)別の分類

では水の硬度とは何で測るのでしょうか?「軟水」「硬水」という言葉はよく耳にしますよね。その違いは何の差でしょうか?実は水1リットル中のカルシウムとマグネシウムの含有量から求められる数値なのです。日本では一般的に硬度100未満を軟水。硬度100~299までを中硬水。300以上を硬水と分類しています。では硬水と軟水では味が違うのでしょうか?答えは「YES」です。カルシウムとマグネシウムの含有量が多くなるほど苦味が強まります。対して含有量が少ない軟水は、苦味がなくあっさりとした軽い口当たりです。好みにもよりますが、特に日本人の大半は軟水のほうが飲みやすく感じます。ちなみに日本の水道水や国産ミネラルウォーターは、ほぼ軟水です。

硬水と軟水では適した用途も違います。ミネラルを多く含む硬水は健康や美容効果が期待してサプリメント飲料のように利用するのが良いでしょう。料理用途としては洋食の煮込み料理などに利用するのがおすすめです。水の中にミネラルが溶け込んでいるため、和風の出汁や日本茶のように素材の旨みを抽出する料理には向きません。一方、軟水は水の中にミネラルを含まないので、お茶や薬の飲用、素材の風味を活かす和食料理、調乳用の水など幅広い用途に利用できます。災害などの非常時は、使用用途が広い軟水がおすすめです。

ミネラルウォーターを購入する際には用途・目的を考え、硬水か軟水かを確かめて選びましょう。

2.水の種類

ここでは原水による水の種類や特徴をご紹介します。

2-1.山の水


山の水には、浅井戸水、深井戸水、湧水、鉱泉水、温泉水、伏流水、鉱水などがあります。
環境省では特に水環境が優良だと認定した山水名所を「名水百選」「平成の名水百選」として紹介しています。

2-2.海の水


海水由来の飲用水で真っ先に思いつくものは「海洋深層水」ではないでしょうか。海の水はミネラルが豊富ですが、同時に塩分も高濃度なのでそのままでは飲用水になりません。飲用として市販されている海洋深層水は脱塩処理を施して真水に近い状態にした上で、海洋ミネラルを調整して販売しています。そのような手間をかけているので、安全かつおいしく飲めるのです。

3.ミネラルウォーター類の分類

販売されている水は一般的に「ミネラルウォーター」と総称して呼ばれていますが、実は細かい分類と基準があるのは知っていますか?商品の品名欄を見てください。よく見ると「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「飲用水」「ボトルドウォーター」と、異なる表記が確認できます。これは農林水産省が定める「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」の基準による表記なのです。

上記の品質表示ガイドライン内の「3、表示の方法」によりますと、下記のように分類されます。「ナチュラルウォーター」とは、「特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈澱、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの」。加工しなくても安全に飲用できる水です。「ナチュラルミネラルウォーター」とは、「ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう。)を原水としたもの」です。専門的で解りづらい印象を受けますが、ナチュラルウォーターの一種ではあります。

違いは、ミネラル成分が溶け込んでいて、ナチュラルウォーターよりもミネラル分が豊富ということです。「ミネラルウォーター」とは、「ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの」。ナチュラルミネラルウォーターを使い、必要に応じたミネラル成分の安定や調整の加工を施しているものです。

「飲用水」または「ボトルドウォーター」とは、「ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの」。上記には類さないけれど飲用水として販売できるという水ですね。

4.市販されている水の主なカテゴリー



ここではミネラルウォーターやそれ以外の市販水の種類や詳細、取水場所や水質などを深堀りしてご紹介していきます。

4-1.ミネラルウォーター

ミネラルウォーターは、地下水を原水とする水です。その取水場所によって主に下記のように種別されます。

4-1-1.浅井戸水

「浅井戸水」と「深井戸水」。一見深さの違いのように感じる言葉ですが、実は単純な深さの差ではありません。水の状態が違います。浅井戸水は別名不透水層と呼ばれる岩盤の圧力がかかっていない地下水のことです。岩盤より上の水を吸い上げる浅井戸からポンプなどで取水した地下水を指します。

4-1-2.深井戸水

対して深井戸は、岩盤より下にある水を吸い上げるためのものです。深井戸水は岩盤の圧力がかかっているもので、「被圧水」と呼ばれます。岩盤のある場所の深さは各々異なりますので、例え別の場所の浅井戸水より浅い場所から取水したものであっても、岩盤より下であれば深井戸水です。深井戸水は地表の汚染などのコンディションによる影響を受けにくく水質が一定しているというメリットがあります。

4-1-3.湧水

明確な定義はありませんが、地下水が地表へ湧きだしたものと考えられています。湧水の場合地下水の取水位置は関係ありませんので、不圧地下水か被圧地下水かの区分はありません。

4-1-4.鉱泉水

自噴するまたはポンプで汲み上げられる地下水の一種です。その中でも「鉱泉水」は水温が25℃未満で、水に溶けこんでいる溶存鉱物質と呼ばれるミネラル成分に特徴づけられます。

4-1-5.温泉水

鉱泉水と同じく溶存鉱物質等を有する地下水ですが、反対に水温は25℃以上で飲用可能な水が「温泉水」です。

4-1-6.伏流水

伏流水も地下水の一種ですが、伏流水として生じるための条件が少々複雑です。岩盤の上下を流れる地下水が、河川に流れこむ時に交わって生じた流水を「伏流水」と呼びます。伏流水は流れている最中に砂礫で自然濾過されているということもあり、水質が安定して良いというのも特徴です。

4-1-7.鉱水

前述の農林水産省が定める「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」では「ポンプ等により取水した地下水のうち溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水」とあります。ミネラルが溶け込んだ地下水全般ですね。よく硬水と混同されがちですが、カルシウムイオン・マグネシウムイオンの値によるものではありません。鉱水の中でも軟水のものは多くあります。

4-2.炭酸水

炭酸ガスが含まれた発泡性のある水のことです。市販品には砂糖が加えられ甘みが付けられたものと、無加糖のものがあります。炭酸水はシュワシュワ感のある独特な喉ごしが特徴です。無加糖・カロリーゼロの炭酸水は喉越しを楽しむ目的以外に、ダイエット・美容・料理など幅広い目的で活用されています。

4-3.アルカリイオン水

飲用水に適する水で、カルシウムイオンを含む水を直流で電気分解し、陰極側で生成された「pH9~10の弱アルカリ性電解水」です。ちなみに陽極側で生成された水の方はpH4~6の酸性イオン水で、洗顔や洗浄用には使えますが飲用はできません。アルカリイオン水は胃酸過多・下痢・その他の消化器の不調改善にも利用される水です。アルカリイオン水を作る整水器の使用目的に関しては2005年に厚生労働省が「告示第112号」で「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」と定めています。

4-4.水道水

スーパーなどで市販されるものとは意味合いが異なりますが、家庭の蛇口をひねると出てくる水です。水道水は厚生労働省と各自治体の水道局によって厳しく管理されています。水道水は使った分を毎月水道料金として支払って使用しているので、「買っている水」と言えますね。国土交通省のTwitterによると、2018年8月17日に「日本を含めて9カ国しか、水道の水をそのまま飲める国はありません!」と発表しています。

4-5.海洋深層水

海洋深層水は希少資源ではありませんが、表層水よりも清浄で安全性が高く、身体に良い栄養素を豊富に含んでいるというのがメリットです。海洋深層水飲料は、血流改善(血液サラサラ)や高血圧予防・腸内環境の改善・ダイエットなどの健康維持や、食事に含まれる脂質吸収の抑制・便秘改善など美容面でも役立てられています。

5.海洋深層水が優れている点

海洋深層水が優れているポイントをまとめると、「富栄養性」「清浄性」「低温安定性」です。ではそれがどのような理由でもたらされるものなのか、どのように役立つのかなど詳しくご紹介します。

5-1.「海洋深層水」とは

高知県庁ホームページによると、海洋深層水の定義は「陸棚外縁部以深(水深およそ200m以上深い深海)の海水」とされています。それより浅い海水は「表層水」です。200m以深では太陽光や水上からの排水などの影響を受けないのでさまざまな利点があるのですが、詳しくは後の項でお話しいたします。日本は海に囲まれた国なので、海洋資源や水が豊富です。2018年現在、日本国産の海洋深層水は国内16カ所から取水されています。その中で、日本で初めて作られた陸上型取水地は高知県の室戸沖です。

太平洋側には「片道2000年の旅」と呼ばれる海洋深層水の大循環があります。これはこの循環海流の道筋が大規模なもので、北大西洋グリーンランド沖合→南極経由で北上→太平洋表層→インド洋、大西洋→再び北大西洋の深海へ潜り込む、その流れが約2000年かかるというところからです。日本海側には北太平洋中層水が海流した「日本海固有水」と呼ばれる水塊があります。

5-2.環境の影響を受けにくい

海洋深層水は水深200m以深の海水であるため、あまり水上の環境による影響を受けません。表層水に多く含まれる細菌・化学物質・排水などもほとんど届かない場所の海水なのでクリーンです。そして太陽光や熱も届かないので光合成が行われず、水温は年間通じて低温で安定しています。

5-3.海洋ミネラルが豊富に含まれている

水深200m以深では、太陽光は海水に吸収されてほぼ届かなくなります。その作用によって植物プランクトンの光合成で横取りされてしまう無機栄養塩類が少なくて済みますので、栄養分はほぼそのまま海水中に残るのです。それで海洋深層水はミネラルを豊富に含んでいるのですね。同時に、海水なので多量の塩分も含んでいますが、塩分を濾過で除去し、ミネラル調整することで飲用できる「海洋深層水飲料」となります。

5-4.ミネラルバランスや濃度に注目

海は「母」と例えられます。それは海が地球上のあらゆる生命の根源であり起源であるからです。もちろん人間も例外ではありません。実は海の水は人間の体液組成にも近いという深いつながりがあるのです。「ミネラル」と言っていますが、海洋深層水に含まれるミネラルは多種あります。たとえば主要ミネラルでは、マグネシウム・カルシウム・カリウム・ナトリウムなど、微量に含まれるものは銅・鉄・亜鉛のほか、たくさんの種類のミネラルをバランスよく含んでいるのです。

それらのミネラルの配合を調整することにより、海洋深層水から「軟水(純水)」「中硬水」「硬水」が作られています。硬水が飲みづらいという人は軟水から始めてみてはいかがでしょうか。また、こんな加工もされています。海洋深層水から塩分や海洋ミネラルを全て除去して「純水」に。炭酸を加えて「炭酸水」に。電気分解して「アルカリイオン水」など、海洋深層水は幅広く利用できる水資源です。

5-5.用途に応じた水選び

純水はミネラルを含まず、軟水はほとんどミネラルを含まないため、ミネラル摂取には向きません。しかし、次のような用途には適しています。たとえば赤ちゃんのミルク調乳用の水、薬服用のための飲用水、和食などの素材の味を抽出する料理、緑茶・紅茶・コーヒーのための水、柔らかめの炊飯など。ミネラルが少ない代わりに、独特の苦味や風味がないので他の味や栄養バランスを壊しません。対して、中硬水・硬水はミネラルを多く含むので、主に美容・健康目的の飲用。料理に使う場合は肉料理・洋風煮込み料理などアクや臭みを消したいものの調理、モチモチさせたい炊飯などに使用できます。

中硬水・硬水が豊富に含むミネラルの中には、便秘解消・血流改善(血液サラサラ)・腸内環境改善・血圧上昇の防止などの美容・健康効果が期待できる成分がたくさんあります。ただし中硬水・硬水は独特な苦味や風味があるので、苦手意識を持つ人も少なくありません。その場合、レモン果汁を加えたり、中硬水・硬水をミネラルウォーターやお茶に混ぜて飲むことがおすすめです。表記を確認し、ミネラル含有量がなるべく多くて清潔な工場でボトリングしているメーカーの海洋深層水を選びましょう。

まとめ

普段何げなく利用や飲用をしている「水」。ほとんどの人が日常生活で当たり前に使っているので、あまり深く考えたことがなかったのではありませんか?しかし水と一口に言ってもその種類はかなり多く、特徴・メリット・デメリットもそれぞれ違うということがよく解りました。その中でも海洋深層水は自然がもたらした、人間を支える偉大な資源です。詳しく知ることで上手に取り入れ、日々の美容・健康向上に活かしましょう。

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